240226 - 0302

2/26 月
風の強い日。庭の梅が満開になって、時おり若草色の鳥がやってくる。陽もずいぶん長くなった。もう2月も終わっていく。春が近づくたびに落ち着かない。冬は何もしなくてもいいのに、春になると急に何か新しいことを始めたりしないといけないような気がする。

 

2/27 火
昨日より風が強かった。コンビニに行って家に着いた途端にくしゃみ、目のかゆみ、鼻水が止まらない。花粉も持って帰ってしまったようでティッシュが手放せない。

 

2/28 水
早起きできたので久しぶりに朝に散歩をする。平日が退屈というかしんどいというか、とにかく憂鬱なので週末と来週の旅行のことばかり考えている。眉毛サロンを予約した。予約したあとに鏡で自分の顔を見て、こんな顔に眉毛やまつ毛に何かを施したところで変わるのだろうかと絶望に似た気持ちに駆られる。キャンセルしようか考えたが。でもサロンの施術のビフォーアフターを見てちょっと楽しみな気持ちになるのでキャンセルしない。月初めにテーマを決めたけど一文字も書けていなかったZINEの原稿が、突然1時間で完成した。うれしい。

 

2/29 木
閏年の日。会社のPCの動作がありえないくらい重すぎて、その影響でかなり残業した。一日ずっといらいらしていた。

 

3/1 金
3月になってしまった。3月になるともう春だと認めざるをえないような気がする。外に出たら花の匂いがして動揺した。Qoo10のメガ割で美容液とチークを買う。ベッドに入ったタイミングでなぜか中高のころを思い出す。わたしの中高時代は春の嵐だった。とはいえ思春期というだけで誰しもが多かれ少なかれ春の嵐のように烈しい年齢だとは思うが、おそらく勉強や部活などのストレスがたたって規律性調節障害にかかってしまったことがきっかけで、学校に行けなかった。つまりわたしは不登校の生徒であった。保健室登校も部活のみ参加も思春期カウンセリングも拒否して、家にこもって映画を見たり本を読み、自意識とフィクションの間を彷徨っていた。ずっとどこか遠くに行くことばかり考えていた。あれから10年経ったけど、わたしはいまだにあのころをうまく飲み込むことができていない。でもあの思春期を葬るために何かをしたほうがいい気がしてきた。それがフィクションなのか音楽なのかは詩なのかエッセイなのかはわからないけど。

 

3/2 土
恋人と中華街へ。牛骨粥を食べ、山下公園をうろうろし、その周辺をあてもなく歩き続けた。横浜は街がモダンなのに近未来的で、普段はふぞろいな、もっと言ってしまえばとても不細工な住宅街に住んでいる者としては歩いていて新鮮。TREASUREのコンサートが横浜であるらしくファンの人とよくすれ違った。いわゆる現場前の、期待と楽しみにあふれたファンを見かけるとなんだかすごく元気が出る。パワーをもらった気になる。
渋谷で蕎麦を食べ、恋人の家に行く。最初はよそよそしく感じていた街にもだいぶ慣れてきて、街への愛着と同時に、名前しか聞いたことのなかった駅に降り立ったときに感じたあの胸の高鳴りや緊張感が確実に消えていっていることがけっこう寂しい。恋人は休日深夜のプレミアリーグのリアルタイム視聴が趣味のひとつで、わたしはサッカーを一心不乱に見ている彼をぼんやりと眺めていた。今日は最も好きなチームの試合だったらしく、普段からは想像できないくらいかなり感情を出していたのでちょっと新鮮だった。勝負事と愛着が混ざり合うと人はとことん正直になる。

 

3/3 日
13時過ぎに友だちと渋谷で待ち合わせ。カラオケ屋に入る。カラオケといってもわたしたちの目当ては歌うことではなく、コンサートの生配信を見ることだ。旧ジャニーズの某グループのコンサートのブルーレイを見たあと、推しのグループの生配信をみんなで見る。旧ジャニーズのグループはわたしがもともと応援していたグループで、ブルーレイになったコンサートは自分がそのグループからべつのグループに降りる半年くらい前のコンサートだった。あのころは自分がこのグループから離れるなんて予想していなかった。何もかもが輝いていたが、その輝きが切なくどこか物悲しかった。
昨日・今日とソウルで現在好きなグループのコンサート(正しく言うと今回はコンサートではなくファンライブと呼ばれるイベント)をやっていたが、わたしはネタバレを食らいたくなかったのですべてのSNSからログアウトし、一切の情報を知らない状態で配信を見た。友だちから昨日はちょっとしたトラブルがあったと聞いていたので身構えて見ていたが、特に何事もなく、平和に終わった。
一番好きなメンバーは髪を黒からアッシュブラウンに変えていた。その姿や佇まいからティーンエイジャーの自分があこがれたり恋愛感情めいた思いを抱いてきたたくさんのアーティストや俳優の面影を感じ取れずにいられず、中学生のときによく聴いてた曲のフレーズ「君は俺の祈り 君は俺の宗教そのもの」が彼に回収されていっているような気すらした。わたしはそのアイドルのことをふざけてオム・ファタールと呼んだことがあったけど、それが冗談じゃなくなってきたような恐怖を感じている。いい感じに落ち着いてきたのに彼へのふたたび熱量がめちゃめちゃになって、自分の人生を生きられなくなったらどうしようと不安と興奮がないまぜになる。

 

今週の一曲/RIIZE "Love 119"