240122 - 0128

1/22 月
とろとろとした眠りが延々と続き、睡眠と覚醒のあわいで目が覚めた。一日中眠かった。自分は生理前の食欲が凄まじく、近くなると冗談や誇張でもなく常に何か食べているような状態だったが、数日前に生理が来てからいっさいの食欲を失った。気づくと食べることを忘れてしまうほどで、自分の身体なのにそうじゃないような感覚がある。夜は文章を書いていた。アイドルのオタクの自分について総括したzineを作りたくなって、わたしがアイドルのオタクという自我を得た7年前から書いた文章すべてをリストアップしていた。いつだってわたしは何かに夢中だったが、しかし何かに夢中になることで自分の人生を生きることを放棄していたような気もする。

 

1/23 火
カリフォルニアのバンド、Girlpoolについて調べていたら彼らが2年前の夏に解散していたことを知ってひどく寂しい気持ちになった。”Dragging My Life Into a Dream”という曲がすごく好きだった。夜は恋人と吉祥寺で会って、フォーを食べる。しばらく1週間に一度のペースで会っていたので、2週間ぶりなのにものすごく久しぶりに会ったような感覚だった。恋人と会うと話がとまらない。わたしのどうしようもないようなつまらない話も聞いてくれる。街は人が少なくて、どことなく閑散としていた。

 

1/24 水
毎日変な夢ばかり見てうまく眠れない日々が続いているからか、昼間の眠気がすさまじい。耐えられない。昼間に好きなグループが日本でコンサートを行うことが発表されたが、日程がちょうど自分が韓国旅行に行く日だった。会場も狭いので当たらなそうだし、そもそも申し込みをしないため落選の悲しみを味わう可能性もゼロなので、両者の日程が被ってよかったと心の底から思った。夜はzineの原稿(生身の人間を消費することとファンダムという資本主義社会の縮図について)を書いて書いて書いた。

 

1/25 木
恋人から、結婚する?と訊かれた。しかし現実ではない。そんな夢を見た。夢の中のわたしはどう返答すればいいのか困っていた。そこで目が覚めた。わたしはもともと結婚願望がまったくなかったが、今の恋人と付き合って、生まれて初めて結婚というのか、まったくの他者と家族という共同体になりたい願望が自然と芽生えた。しかし恋人には結婚願望がない。それを知って付き合ったし、双方ずっとそういうものだと思っていた。だから今日見た夢みたいに、恋人から結婚する?と訊かれることも現時点ではないことを思い出し、夢から覚めて一番はじめに抱いた感情は悲しみだった。わたしは結婚がしたいんじゃなく、いまの恋人と家族になりたいだけだと思う。

 

1/26 金
ZINEのことばかり考えているが、肝心のタイトルがまったく決まらなくて悩む。空き時間に表示案を少し作って、これまで書いた文章を一旦Googleドキュメントで取りまとめようとするが、ボリュームが多くて時間がまだ終わっていない。7年前も今も同じようなこと、たとえばオタクとしての感情のコントロールがうまくできないとか、なんだかそんなことばかり言っている。数年前の自分が書いた文章はアイドルへの愛情が高い純度で満ちていてきらめいていて、なんだか泣きたくなった。

 

1/27 土
昼過ぎに代官山蔦屋へ行き、samepaperのナップザックを買ってそのまま背負う。今月は何も買わないと言っていたんじゃなかったっけ?でもリュックやナップザックの類は持っていないのでこれはありということにする。購入後は代官山から渋谷へのろのろと歩く。15時からシネクイント・ホワイトで『哀れなるものたち』を見る。
評判通りたしかにフェミニズムを全力で肯定し、女性を祝福し、エンパワメントをする奇妙で壮大な人生讃歌の映画でもあったが、作中のセックスというか性欲の取り扱われ方についてなんだかもやついた思いを抱えて映画館を後にした。まったくうまく言葉にできないけれど、なぜあそこまで徹底して彼女の性欲を描かなければならなかったのかよくわからない。ベラは型破りで常識を叩き壊す、探究心に満ちた人間だ。20世紀の女に大きな解放をもたらすものとして間違いなくセックスと知性があったと思うが、単純に作中内での前者と後者のバランスが圧倒的に前者に比率を置いていたからかなんだかベラの知性のインパクトに欠けていたような気がした。まあそんなこともいえども挑発的かつとてもいい映画ではあって、特に美術や衣装などのビジュアル面は心底に魅力的だった。何よりエマ・ストーンの演技がどのシーンも素晴らしい……
帰宅し、突然ピンク色のネイルが塗りたくなった。ネイルポリッシュの箱を漁ると安っぽいおもちゃみたいなピーチピンクのポリッシュが出てきたので塗る。相変わらず下手くそ。

 

1/28 日

今日もうまく眠れず寝不足。友だちと朝の9時に待ち合わせ、シティベーカリーでモーニングを食べる。彼女とは数年前から『朝活』と称して休日の朝から約束をしてよく遊んでいる。休日だけど早起きをしてモーニングを食べるたび、わたしは贅沢をしている!とすごくいい気分になれる。ZINEを作っていることを話し、イラストを描いてもらいたいと頼んだら快諾してくれたのでやる気が出る。
昼過ぎに友だちと解散して恋人と待ち合わせ、高円寺に行く。古着屋をぶらぶらし、雑貨屋pkpでトレカケースを買う。高円寺はカルチャーの街だから自分と親和性がかなり高そうなのに、本当に落ち着かない。性格が似てるはずなのに気が合わなくてお互いなんとなく居心地の悪い知り合いみたいな気がする。
西荻窪に移動。西荻窪は居心地がいい。Juhaに行く。カウリマスキの映画から店のタイトルを拝借した時点で泣けてくるくらい良いが、壁中に映画のポスターが貼ってあって愛だらけの店だった。

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吉祥寺に移動。わたしはまたもや散財を犯してしまい、帰宅して少し後悔することになる。たまたま入ったバルの店員たちがアッパーでちょっと引き気味。寝不足だった頭がようやく冴えてきたのか、恋人といろんな話をした。映画などでお互いのことを知るという段階をすっとばしてラブシーンになるのが本当にわからない(そういう人も実際いることはわかってるけどその「感覚」がわからないので興味がある)とか、角川から出るはずだが妙な売り方のせいで抗議を受けて発売中止になったLGBTQ+の本の話だとか、男子のじゃれあいについてとか、色々。恋人と映画や音楽やしょうもない雑談と同じような温度感でジェンダーとか政治について話せることを心から幸せに思った。
日記の話になったので、わたしは10歳くらいから紙とかネットとかどこかしらで日記をつけてると話したら「忘れたくないから書いてるみたいな感じがする」と言われ、たしかにと思った。わたしは過ぎ去る日々を忘れたくないのかもしれない。でも書くことですっきりしてうまく忘れられることもあるし、単純に後々読み返すとおもしろいし、何より日記や文章を書くことは自分にとってセラピー的な存在になっていることをすごく感じるので気づけばごく当たり前の、日々のルーティンとして存在していたことを改めて思った。
わたしは最近までみんながみんな日記や記録をしているものだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。恋人は自分はうまく言語化ができないので文章を書くのが苦手だと言い、そういえば友だちは自分の文章が嫌いだから残したくないと言っていた。いろんな人がいる。
連日の寝不足のまま一日中出歩いたからか、恋人と解散したあたりからなんとなく体調が悪くなった。ふらふらする。お腹も気持ち悪い。目を閉じたら頭から倒れてしまいそうなあやうい予感を抱えつつ帰宅した。元々他人よりなかった体力がどんどん失われていることを強く感じざるをえない。

今週の1曲/The Breeders "Cannonball"