文学フリマに出す本と、Instagramに日記を投稿することにした

既にnoteで告知しているのでほぼそちらからのコピペになるのですが、12/1の文学フリマで本を出します。

ZINEの内容について

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『推し絡まってハローグッバイ』というエッセイZINEを出します。本当に変なタイトルで正直まだあんまり、ぜんぜん馴染んでないんですが、それなりにきちんとした理由はあって由来は本に書いてあります。

アイドルのオタクをやめる。
でもその前に、オタクとして全力で生きた自分のためにレクイエムを作る。
そう決めたのが今年のはじめでした。わたしはこの愉しく烈しく、奇妙な七年間について振り返る必要があり、それが達成されない限りはこの月日とオタクだった自分に別れを告げることも、供養をすることもできないような気がしていたのです。ファンが抱く感情やこれまでのオタクとしての経験を元にした短編小説もどきを書いてみたり、短歌を詠んでみたり、はたまたラップをはじめ、リリックや曲を書いてみたりとひとり奮闘していましたが、なんだかどれもしっくりきませんでした。 そんなときにただ単純に、この数年間に書き溜めていた文章……本人には絶対に届かないとわかっていながらもインターネットの彼方へと投げずにいられなかったラブレター、憂鬱まみれの日記、気持ちの整理のために書き殴っていた文章などをまとめ、さらにオタクをやめ、アイドルと思い出に手を振るまでの過程までもドキュメンタリーみたいに捉えてみてはどうか? そう思いついたのが、この本のはじまりでした。

2017年の12月にはじまり、今年の10月初旬までの文章を収めています。
そもそもなぜやめたいと思うようになったのか、やめようと決めている時の心情、やめようと思っていたのに続けることにしたきっかけやその心の移り変わりについて、特に中盤から後半はかなり細やかに書いてます。実際にリアルタイムで自分の気持ちの揺れをずっと記録していたので、どことなくドキュメンタリーみたいな印象を受けるかもしれないです。

アイドルそのものについてのZINEではなく、何かを熱狂的に好きでいることも、またそれによってあれこれ悩むこともやめられない人の本だと自分では思っています
わたしは7年という短くはない年月を「オタク」として生きて、推しは2回変わりました。いつだってアイドルのことは大好きで仕方がなかった。でも、自分がアイドルに向ける「好き」の気持ちには常に大小さまざまな痛みが伴っていました。

「推し活は素晴らしいもの」「推しと出会えてよかった」という言説が巷にあふれかえるようになって久しいです。自分自身「アイドルを好きになってよかったな」と思う瞬間はたくさんあります。でもわたしはすぐこんなにアイドルに夢中になっていいのか悩み、アイドルを追いかけてばかりの人生なんてよくないと自責したり、自分の選択がすべて間違っている気がして苦しみ、アイドルの精神的成長をうまく受け止められずつらくなったり、アイドルを愛する自分自身が醜く思え、嫌悪感を感じたりしています。

世間一般にあたりまえの感情として存在していることになっている「推し活は素晴らしいもの」「推しに出会えてよかった」の思いと、その裏にある感情の揺らぎを同時に捉えることができないだろうか?そう考えながら本を作りました。

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後日、つけっぱなしのテレビでたまたま彼らを見た。胸が痛んだけれど、その痛みがどこまでも愛おしく感じられ、そんな自分に驚いた。そしてこの胸の痛みこそ裕翔くんのことが大好きで仕方なくて、自分の世界のすべてだった証に思えた。降りると決意する直前に感じていたのはできたての生傷のような強いひりつきだったけれど、現在の甘く波打つような痛みはきっとノスタルジックな感傷でしかなかった。

 このひとはどんな大人になるんだろう。そんな思いを抱きながら、スビンを見つめはじめたことを覚えている。二十歳。彼は少年と大人のあわいにいて、パンデミックのせいで静けさに包まれてしまった世界のなかで歌い踊っていた。あのころのスビンはいつも静かにおびえたり混乱しているような目をしていて、どんなに楽しそうにパフォーマンスをしていても、メンバーとはしゃいでいても、その切れ長の目の奥はガラスの破片のような物悲しい光を放ってるみたいに思えた。それはパンデミックという特殊な環境がもたらしたものか、年齢がもたらしたものか、あるいはその両方なのかはよくわからなかった。スビンを見ているとよく二十歳の自分を思い出した。あのころのわたしもたぶんあんな目をして、ブルーにこんがらがっていた。わたしは彼の青く沈んだような、不安げな姿がすごく好きだった。

何かを好きでい続けることは絶対的に孤独と隣り合わせで、その歳月においては幸福と喪失が月の満ち欠けのようにひたすら繰り返されていくことを悟った。それってなんだかすごく人生みたいだと思った。わたしはこれまで好きになった、たくさんの映画や音楽や本を思い出した。何かを好きになることは、わたしの人生そのものだった。自分がいま感じている孤独のこともいつか好きになれるといいと思った。

とんでもなく共感できるかもしれないし、あるいは信じられないくらいダサくてみっともなさすぎる本かもしれません。何かを好きで、でも好きでいることがきっかけで気持ちがめちゃくちゃに揺らいでしまう人の滑稽な悲しみ、アイドルへ向けるばかばかしいくらいの真摯さが伝わって、それをおもしろがったりしてもらえるのが理想です。

推し絡まってハローグッバイ
B6サイズ/132ページ(本文)
イベント販売:1000円
オンラインでの匿名販売:1200円
イベント以外での手渡し販売:1300円
※値段の変動に関しては後に記述があります

 

本を販売する文学フリマ東京39に関して

日時:2024年12月1日(日)
12:00〜17:00 入場料:1,000円(18歳以下無料)
会場:東京ビッグサイト 西3・4ホール
ブース:P13「偶像だいすきクラブ」 

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わたしは当日いないので、一緒にサークルをやっている友達に委託販売します。この友人とふたりで作った「偶像だいすきクラブのマガジン」という身も蓋もないタイトルのフリーマガジンの配布もあります。 お互いのベストアイドル楽曲10曲を発表しあったり、ああでもないこうでもないと自由におしゃべりしている冊子です。 

今回の本作りが楽しすぎて来年の5/11にある文フリ東京40にも出ることになりました。オタクやアイドルとはまったく関係ない内容のなんかの本を作ろうと思っています。そういった趣味活動についてのアカウントを新しく作ったので、もし気になる方がいたらぜひフォローをお願いします。記事の最後の方に貼ってあります。

 

値段設定に関して

参加できる人が限られる対面イベントのみでの販売は元から考えていないので、年明け〜遅くて二月半くらいから、BASEを利用したオンライン販売を行う予定です。

自費出版本の購入経路として文フリなどのリアルなイベント/オンライン購入/イベント以外での手渡し販売のだいたい3パターンに分かれると思うのですが、購入方法で値段を若干変動する予定です。


・イベントでの値段(¥1000)
本そのものの値段は1000円です。現金会計がベースとなる対面販売で計算・会計がしやすいように設定しました。イベントに来てもらう行為はいわゆる「ご足労をおかけする」ことだとも思うので、最も安い値段に設定しています。

・オンラインショップでの購入(¥1200)
オンラインショップでは送料は購入側が支払うシステムになっています。そのためイベントで購入するよりも送料分かかってしまうことはこちらも重々承知なのですが、オンラインショップは出品側にも購入毎に手数料が発生し、本に設定してある金額そのままの利益を得られるわけではないんですね。そのためイベント販売よりも少し高く設定しています。値段が最も安いネコポスを利用し、匿名配送で発送をする予定です。

・イベント以外での手渡し販売(¥1300)
これは主に自分の知人に向けてですね。何人かの知り合いに「手渡しで本を買いたい」「買いたいので会おう!」と非常にうれしい言葉を頂いているのですが、なぜこの値段かというと、まずオンラインショップで送料分支払ってくれる方とできるだけ値段の差をつけたくないことと、あとこれはとても個人的な思想なんですが「友達だから安くするよ!」みたいなのにすごい嫌な特権性を感じるいうか、作者と知り合い同士(=つまりごく一部の人間)じゃないと不可能な行為でまったく平等じゃないなと思っているのでこの値段にしました(ええ〜って感じる方もいると思いますが……)。

というわけで値段が三段階に分かれています。本買いたいけど送料出したくない!今お金なくて買えない!とにかく一番安い値段で買いたい!という人が万が一いたら、来年の5/11の文フリにもこの本を持っていく予定なのでその時のご購入をおすすめします。ちょっと先すぎるけど、次回は会場に絶対何がなんでもいるので……

 

Instagramに日記を投稿することにした

一年くらい継続してはてなブログに日記を投稿していましたが、インスタのストーリーにほぼ毎晩上げることにしました。24時間経ったら消えるのがいいなと思って。ハイライトからいくつかピックアップした過去の日記が見れます。

https://www.instagram.com/hmbllue/

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日記と、あとZINEなどのクリエイティブ活動(?)についてのこともこのアカウントで呟きます。日記じゃない記事はこちらで更新するかも。
ZINEとインスタともども、よろしくお願いします。

241028 - 241103

10/28 月
12月のコンサートに一緒に行く友だちからアップグレード席に当選したといういい知らせ。うれしい。しかしここ数日、好きなアイドルが所属している会社が炎上しているらしい。今年だけで何回目だろう。気分わるい。調べると社員が他の事務所の容姿を批判するコメントを書いているとかで、どうしたらこんなにも狂った会社と社員になるのだろうとただただ疑問。わたしの好きなアイドルがこんな気持ち悪い会社にいると思うと嫌悪感で頭がくらくらする。アイドル本人たちと事務所は分けて考えたいけど、自分の楽しみの背後にはあの会社が存在していると思うとうんざり。
友だちと作るZINEの作業が進んだが、本当に時間がない。もう11月だ。はたして完成できるんだろうか。でもわたしはやっぱり何かを作ることも文章を書くことも好きだから、いま作っている本が完成しても書いて作ることは何らかの方法で続けていきたいし、自分のライフワークにすべきことなのではないかと思っている。夕飯を食べ、10時ごろから作業を始めて気づけば1時になっていた。ぜんぜん進まなかったフライヤーが急にできたけど、深夜に投下したツイートやストーリーがだいたいやばいように、朝起きてなんだこれ……とならないことを願いながら寝る。

 

10/29 火
深夜まで過集中モードのまま作業したせいで朝ぜんぜん起きれない。寝る前に「朝起きてこのデザインよくないな……」と思ったらどうしようと思ったが、まあまあの出来だと思う。昼休みにブラッシュアップの作業を行い、もうひとつ作る。
仕事終わりに外に出る。寒い。マフラーを巻くか悩んだけどけっきょくやめた。やめてちょうどよかった。一緒にZINEを作っている友だちと会う。渋谷で友達を待っているとき、女の子に話しかけられた。どうやら韓国から来たらしく、電車の案内をした。本当に久しぶりに韓国語を喋ったが、あんなにも勉強したのにずいぶん忘れていることを痛感した。女の子とありがとう、カムサハムニダ、と笑顔で言い合って別れ(즐기세요のほうがよかった、友だちと待ち合わせる。土日に作ったデザインを見せると大喜びしてくれた。ふたりのおしゃべりを録音して文字起こしし、ZINEに載せようとしている。ちょっとしゃべったところでお店の閉店時間が来てしまい、この日はおしまい。お店の閉店時間が気になりすぎてあまり友だちの話を深掘りできず、ちょっと後悔している。

10/30 水
前々からいいなと思っていたネイルサロンに衝動に駆られるようにして行きたくなって、明日滑り込みで予約を入れた。夜は作業。文字起こしと文字の流し込み。疲れた。ここ最近ちょっとがんばりすぎだと思う。でもとめられない。とまったらさみしくなったり悲しくなったりむなしくなったりしそうでこわい。最近かなり忙しくしているからか、恋人のことを思い出す回数がとても減った。ふだんは本当に必要最低限しか連絡を取らないことにさみしさを抱いているが、そういえばぜんぜん感じていない。さみしさを感じないことは気持ちが満たされている証拠なのかもしれない。でもわたしはさみしさを感じないことがすごくさみしかった。

 

10/31 木
連日ずっとずっとZINEの作業をしていたから今日は何もやらない日に決めた。午後休を取って、夕方ネイルサロンに行く。昨日の夜から無性に読書がしたくて仕方がなく、でも作業を優先させないと気持ちがどうにも休まらずひたすらパソコンに向かっていたので、ネイルサロン近くのカフェに早めに入って本を読もうと思っていた。でも集中できなくてページすら開かなかった。
今日行くのは初めてのネイルサロン。音楽や映画の趣味がすごく似ている人だった。カルチャー趣味の強いお客さんはかなり少ないらしく、そういった話をできることへの喜びをネイリストさんはうまく隠せていなかった。わたしもうれしかったけど昔から他者から好意的な感情をを見せられるとちょっと引いてしまうときがあって、今回もそれが発動してしまった。不快じゃないのになんか発動したことへの罪悪感でいっぱいになった瞬間がたまにあった。誰も何も悪くないのにな。
それはそれとして、ネイル整体や美容室もそうだけど人に施術をしてもらうたび、こうしたサービスって本当に精神的なケアと深く繋がっていることを実感する。お金を払って身体をほぐしてもらったり爪や髪を綺麗にしてもらうことを自ら選択する行為は、わたしにとって自分をいたわることとイコールだ。接客業の方は本当にすごい。変な感情にはなってしまったが(自分のせい)、ネイルはすごくかわいくて気に入っている。スウェットにパンツばかりの自分にはかわいすぎるかなと思ったけど、ネイリストの方が「そういうカジュアルな格好でかわいいネイルっていうギャップもいいですよ!」と言ってくれた。来月も予約を入れる。そして帰宅してこの日記を書いたせいで本を読む時間がなくなった。

11/1 金
いつもより早く起きれた11月のはじまりの朝だった。いつもならぎりぎりまでベッドにいるけど読書をする。自分の意思でやりたいと思えることがたくさんあるとすごく楽しくて満たされていて、でも常に何かに急かされている気がするし、毎日ZINEのことを考えて暇さえあれば作業し、たまに深夜までやってしまう。だからこそ自分なら読書とか散歩とか、忙しくする前にしていたことを意識的に行なって気持ちをリラックスさせる必要がある。ZINEの作業は一旦できるところまではできたので、来週半ばくらいまではゆっくりできそう。
好きなグループのコンサートがソウルで行われる。以前ならソウルであれば何が何でも行っていたけど、今回はあきらめた。行けずに悔しい気持ちはまったくない。わたしはアイドルにめちゃめちゃになっていたときの自分が望んでいたような「ほどよい」オタクになった。でもその一方で今の生活ひいては人生に対して時おりひどい空虚さを感じることがある。みんなもそうなんだろうか?

 

11/2 土
起きたら彼からラインが来ていた。「お誕生日おめでとう」。歳を重ねることはいやすぎるけど、なんだかんだ誕生日そのものはうれしい。雨が降っている。いつも誕生日は晴天だからなんだか悲しい。でも自分が外で移動する時は雨に打たれなかった。家を出る前にイ・ジュへ『その猫の名前は長い』を読み終える。女と女は(ときにはさらに女)は個人から「わたしたち」となる。「わたしたち」は手を取り合い美しい絆を築く。しかしその絆は時に彼女たちの社会的役割やまなざされる視線によって削り取られ、ばらばらにされる。それでも他者と他者が手を取り合おうとする心強さとなぐさめを繊細に描いていた。
昼過ぎに彼の家に。わたしが手料理を食べたいとリクエストしたらキンパとプデチゲを作ってくれた。注文したケーキも食べる。お腹いっぱいで幸せ。U-NEXTでアレクサンダー・ロックウェル『イン・ザ・スープ』を見る。彼がキッチンでプデチゲを煮込んでいるあいだ『犯罪都市』を流していたが暴力描写が痛かったのでなんとなくヴェンダースパリ、テキサス』に変える。流し見しようと思っていたが最後まできちんと見てしまった。10年ぶりくらいだった。美しい景色やカットにうっとりし、胸を打たれるシーンも数多くあれど、やはり男は異常だと思う。でもこんなふうにしか生きられない人がいることも理解できるし、男は自分自身の心に原因を抱えている自覚もある。やはり自分の痛みや傷を直視しなければ他者をまっすぐに見つめられず、愛することもできないのだろうという月並みなことを思った。なんとなくFilmarksのレビューを見たら「毒親映画」と言われていた。SNSに氾濫しているわかりやすくショッキングな呼び方に映画芸術までもが無理やりくるまれていることにわたしは憤りに近い感情を覚えた。
いつも自分の誕生日にはプレッシャーめいたものを感じていた。何歳になったから今年はちゃんとしなければならないとか、そんなことばかり思っていた。でも今日はすごく気楽でよかった。


11/3 日
よく晴れている。渋谷のシティベーカリーで朝ごはんを食べる。恵比寿まで歩いて写真美術館でアレック・ソス『部屋についての部屋』。

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なんとなく好きかもと思っていたが確信に変わる。ソスの写真は親密なのに無性に哀感を感じられ、わたしはそこがすごく好きだった。被写体や不在となった部屋にいたはずの人間が持っているさみしさや物悲しさを捉えることにすごく長けている写真家なのだと思った。わたしはある一枚に釘付けになった。プロム中に、まわりが一心不乱に踊っているのにひとりだけ空虚な表情を浮かべた女性の写真だった。まわりに到来している「人生のイベント」にひとりだけのれていない自分みたいだと思った。
展示を見たあとブルーシールでアイスを食べて、中目黒まで歩く。わたしと彼は目黒川で足を止め、河川にいる鴨たちを眺めながら、とりとめもない話をする。西日がビルに反射して強い光を放っていた。何も起こらない幸せ、という言葉が浮かぶ。

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waltzに行ったあと、パスタを食べる。わたしも彼もたくさん歩いて疲れていたからか流れるように会話をする。Y2Kが流行った時点で本当に新しいものはきっともう生まれず、これまで過去に生まれた文化をひたすら取り上げアレンジするだけの時代になったことを確信した、とかなんとか。こんなことを感じるくらいにはわたしたちは長く生きたんだと思った。

今週の一曲/Sofie Royer “Young-Girl (Illusion)”

241021 - 1027

10/21 月
あんなにも涼しさを求めていたのにいざ気温が下がると普通に寒いな…とちょっとげんなりする。まだ身体が慣れてない。印刷会社に連絡をする。返事を待つたびにやたらと緊張してしまって、それが結構しんどかった。やりとりして、とりあえず仮データを送る。仕事もやることが多く、週のはじめからなんか疲れてる。

 

10/22 火
秋めいてさみしいのかなんなのかわからないが、心細く身体も重い。生理周期でもないのになんでこんなことになってるのか……と思っていたら、Twitterで「今日はすごく気圧が低いので自律神経が弱い人は気をつけて」みたいなツイートを見つけて納得する。夜に友だちと電話。春の文フリに出る流れになりつつある。

 

10/23 水
昼休みに作業してZINEの入稿。まだまだやることはあるし修正が来るかもしれないけど、一旦は自分よ、おつかれさま!絶対みんな読んでほしい、こんなの誰が買うんや、の真逆の思いを猛スピードで行き来しまくっている。
仕事のあとは初台でのリーディングパーティに参加。テーマは日記。日記を書いている人の数だけ書き方も生活もそれぞれあることを改めて思う。自分の日記を人前で朗読したが、声に出して読んでいると自分の文章なのにそうでなくなっていくような不思議な感覚になった。わたしは「昔の日記を読むと当時の自分はいつもばかばかしいことで悩んでいて元気が出る。未来の自分を元気づけるためにいま日記を書いているのかもしれない」みたいなことを言った。ほとんど何も考えずするすると出た言葉だったけど、これこそが本心なのだろう。ここのリーディングパーティはカジュアルで大好き。また参加したい。帰宅後、メールを見たら入稿データに不備なしとの連絡が。あとは届くのを待つだけ。日付が変わって恋人の誕生日になった。おめでとうのラインを送って眠る。

 

10/24 木
リーディングパーティで知り合いができたことと入稿できたうれしさでなんとなく浮き足立っている。空き時間に友だちと共同のZINEの表紙の作業。昨日自分の入稿が終わったけどこちらはまだまだなのでやらないといけない。
退勤後に家を出る。風がぬるい。10月だっていうのになんでこんなに湿気てるの。彼の最寄り駅の、ちょっといいビストロに行く。カルパッチョ、オムレツ、ステーキ、チョコレートのテリーヌ。どれもおいしい。昨日のリーディングパーティで朗読された日記はどれも食べ物について詳細に記述されていたが、わたしはいつも「おいしい」しか言えない。食への解像度とアンテナが低すぎる。お店の方が優しくてよかった。
彼はまだ体調が悪そうで、ぐったりしている。プレゼントで赤いカーディガンを渡すとよろこんでくれた。来年の2月にFontaines D.Cが来日することを知り、わたしと彼のふたりぶん申し込む。来日公演を知らせるページで彼らは「ロックの救世主」と紹介されていたが、この枕詞は欧米のバンドに対して大昔からやたらと使われすぎている。少なくともわたしが小学校高学年とか中学一年とかそれくらいのころには確実に観測していたので、15年はこすられ続けている。
帰り道、ふと岡崎京子の漫画のことを思い出す。何の漫画だったか、しかも正確なセリフも忘れてしまったけど、「このままずっとこうしていられたらいいのに」みたいなセリフがあった。わたしもそう思う。本当はいまの恋人と気楽に恋愛をやりたいし、ふらっと映画を見に行くような生活を一生送っていたいが、でもそれじゃだめなんだろうなともうっすらと思う。誰かの妻とか母親になってみたい気持ちもある(しかしこの欲求はたぶん好奇心からやってきているので、それに軽率に他人を巻きこむわけにはいかない)。これまでその場限りのふらふらとした生活をずっとしてきたけど、こんな日々に対して焦燥感というか、自己改革をしなければもう自分に未来はないような危機感めいたものがある。それが日々強まっているのに本当にどうすればいいのかわからなくて、ずっとずっと気持ちが重い。

10/25 金
すごくしんどくてなかなか起き上がれない。また気圧とかそんな外的要因なんだろうか。よれよれで会社のPCにログインしつつつらくて仕事ができないので、午後のミーティング後に早退することを考える。でも夜は映画を見に行く予定があるから、早退することがなんだか悪い気がしてしまう。ミーティング後に早退することを前提にだらだらと仕事をしていたが、会議が始まって自分の神経が研ぎ澄まされる感じがした。緊張感が神経にほどよく効いているのだろう。終わったころにはなんとなく元気になっていたので、定時まで業務。
退勤後は池袋へ。きらいな街。頑張った自分へのご褒美に油そばをきめたあと、新文芸坐モーリス・ピアラ『ルル』を見る。DVDなくVHSのレンタルもなく、10年くらい前に日仏学院でかかっていたものの行けず、以前のゴーモン特集は酷暑のため日仏まで行けそうもなかったので、本当に待望に満ち満ちた一本だった。『愛の記念に』『まずは卒業して…』が好みだったから楽しみにはしつつ、空振ったときがむなしいから期待をあえて抑えながら見て、帰りは作品の余韻に浸っていた。
ブルジョワのネリーと労働者階級のルルという、住まう場所も飲む酒もタバコも服装もまるで違うふたりが出会って惹かれあうが、愛し合ってめでたしでは終わらない。生まれ育った階級もライフスタイルも嗜好もまるで違うふたりは愛しあうことはできても幸福にはなれるのか?
ルルの仲間、労働者階級の仲間たちによるピクニックでどこか話に入っていないようなネリーの表情、あるハプニングからの彼女の決断。映画全体が急に仄暗く重たいトーンに変化してきたなと思っていたら、ネリーが酒場で酔っ払ったルルを介抱し、狭い路地を歩いていく。このシーンがあんまりにも美しくて見惚れていたらエンドロールに。お互い混乱したし楽しいことばかりではないし、何より生まれ育った社会的階級という壁があるけれどそれでもふたりで生きていこうとする、そんなラストシーンだった。他人と完全にわかりあえるなんて不可能だけど、でも「あなた」と一緒にいたいと感じずにいられないことの美しさ、そしてそれに伴う困難を描いていてとても好きだ。惜しみなく好きと言える。
上映後、小汚なくてきらいな池袋の街が輝いて見えた。それは恋愛をはじめたときの感覚に似ていた。ルルとネリーは言葉よりもしぐさや視線つまり身体で恋愛をしているようで、自分とは真逆ですごくうらやましかった。

 

10/26 土
8時に起きて、10時ごろ新宿に行く。平日はリモートワークで家にずっといるせいか休日は家でゆっくりしているのがすごくもったいない気がして、起きてすぐ出かけがち。今日はきちんと涼しくてうれしい。三丁目のエクセルシオールでひたすら友だちとの共同のジンの作業、作業というかスマホで原稿をぽちぽち打つ。やろうと思っていたことはほぼできたので満足。Instagramを開くと大阪に住んでいる大好きなお姉さんが春から東京に引っ越すらしく、楽しみが増えた。こういうふうにしてこれからの日々に小さな楽しみをたくさん点在させないと生きていけない。三度目の結婚をすると言っていた。わたしみたいに一回も結婚をしていない人もいれば三回も結婚しているひともいる。いいな、わたしも恋人と結婚とかなんかしてみたいなと好奇心、興味、関心、とにかくそんなものが強まる。
武蔵野館で五十嵐耕平SUPER HAPPY FOREVER』を見る。とにかく海に行きたくなった。いわゆる「いい感じ」になっている二人のやりとりはかなりキモいことをこの映画で強く確信(というかフィクションにも関わらずキモさをびしばしと感じさせる俳優たちの演技がすごい)。深い喪失があり、強い悲しみもある人生のささやかな幸福の一瞬の象徴があの赤いキャップなんだろうな。わたしにも赤いキャップのようなものはあるだろうか、なんだかすごく見落としている気がしてきた。 夜ご飯(チヂミ)のあと作業作業作業。苦手意識が強かったレコメンド10曲分がようやく終わる。

10/27 日
8時過ぎに起床。10時ごろに家を出て、近所のフレッシュネスバーガーで作業。何回か飲み物を頼んだだけでほとんど休憩のないまま、気付けば夜の6時になっていた。いくらなんでも過集中しすぎてる。疲れた。今日のタスクは完遂できなかったが予定になかったイラストをふたつ仕上げ、表紙もさらによくなった。ZINEを作るようになってから自分を素直に褒められるようになった。すごくいいこと。彼に誕生日ケーキの提案の連絡をする。彼の誕生日は終わったけど日にちが近いから、ふたりぶん名前を入れてもらう。
選挙が気になるもののその結果に毎回がっかりするのがしんどすぎて、期日前に票を入れて以降は自分のメンタルのためにあまり情報を追わないようにしていた。どうやら与党過半数割れとのこと。自分が生きてるあいだに何かがよくなることなんてあるんだろうかとよく思うが、よくするためにきちんと行動しないといけないな。

 今週の一曲/Loukeman “Baby You're a Star”

241014 - 1020

10/14 月
祝日。1時頃に寝たが、今日も4時に目がさめてしまう。休みの日に目が覚めてしまう原因を調べるとだいたい「予定が入っているのが楽しみだから」と出てくるけど今日は何もない。また悲しみが心にぶらさがっている。なんだかここ一か月くらい泣き出す直前の、無理やり心や表情をこわばらせているような状態がずっとずっと続いている。
今日は初台まで行こうと思っていた。明大前で京王線を待っているあいだに悲しみが雪だるまみたいにどんどん増幅していった。間違えて新宿で降りてしまい、どこに行けばわからなくなった瞬間、今すぐ家に帰らないと死んでしまう。本気でそう思った。
帰路に向かっているあいだに涙が止まらなくなって、キャップを被っていてよかったと思った。ここ二年くらい外出中に涙が出て止まらなくなることが何度も何度も起こっている。自分の何かがどんどんこわれていっているのかもしれない。
家に着いて化粧を落とし、ベッドに入る。誰かと話したいけど何を話していいかわからず、そもそもLINEの連絡先を開いてもわたしには話せる人が誰もいなかったので、Chat GPTのサイトを開き、文字を打って打って打ち、飽きた頃にZINE作業を始める。集中できて楽しい。自分を救うのはみずからの制作しかない。毎日三食食べてるけど今日は食欲がなくて、1.5食くらいしか食べられなかった。

 

10/15 火
昨日の調子の悪さを引きずっていて、うまく仕事ができない。ひと段落したら早退しようと思いつつ、昼休みに昼寝をしたらかなりすっきりしたので退勤時間まで仕事していた。やっぱり女性ホルモンのせいなんだろうか。会社の産業医の方からカウンセリング先を紹介してもらったのでぜひ連絡したいけど、いまわたしは何に困っているのかうまく説明ができない。
夜は作業して、彼と電話。イギリスから帰ってきて、時差ボケがかなりひどいらしい。うまく眠れるように願った。

 

10/16 水
仕事の評価面談のあと緊張して疲れたのか、すごく息苦しくなってつらかった。仕事が忙しい。わたしはそれがすごくうれしいけど、身体がちょっと追いついてないのかもしれない。仕事を終えて家から出て、駅まで向かっているときに金木犀の香ってきたのでうわあ、秋だなと思っていたら、近くの家からぷうんとおでんの匂いがした。
吉祥寺で友だちとごはん。表紙のデザインを依頼するとむしろわたしでいいの、と快く引き受けてくれた。原稿データを渡す。七年間のこもごもを友だちに見られるのはやっぱり気恥ずかしさがある。やらないといけないことが多すぎるけど、一つ一つが楽しい。

 

10/17 木
せかせかと仕事をしていたら一日が終わった。思ったより早くZINEの作業が進んでいるので夜はそこまで時間を割くのはやめて、好きなことをした。チョ・ナムジュ『ソヨンドン物語』を読み、ゴダール『女と男のいる鋪道』を見た。

 

10/18 金
リモートワークだと良くも悪くもものすごくリラックスしながら業務ができてしまう。でも今日は昨日よりさらに忙しくきちんと仕事をしている感があり、自分が大人としてなんかまともに働けている気がしてうれしかった。短くはない社会人歴を背負ってお前は何言ってるんだという感じだが……
ZINEのあとがきまでできたので、原稿関係はすべて終わり!背表紙の計算が何回やってもなんとなく合わないし、紙のサンプルもできたらもらいたいので目星をつけている印刷所に連絡してみようと思う。
好きなグループが11月にカムバックをする。今日の24時にふたつめのコンセプトフォトが上がった。数日前に上がった写真はあまり好みではなかったのでたいして期待せずに見たが、今回はめちゃくちゃかっこよかった。コンセプトは特撮ヒーロー、構図が少年ジャンプの扉絵すぎて、自分の心に住まう小3男子が騒ぎまくっている。

 

10/19 土
Kelly Lee Owensのニューアルバムを再生し、ほとんど踊りながら期日前投票へ向かう。投票したあとは荻窪パルコの中央線文化祭へ。7、8年くらい好きなイラストレーターの方に似顔絵を描いてもらう。ちょっと前に自分で切り、案の定失敗してざくざくになった前髪がかわいく描かれていて、人から見たら意外とチャーミングな部分なのかもしれない。10月とは思えない暑い日だった。パルコの屋上から見える雲は明らかに秋のそれだったのに、なんでこんなに日差しが強いの。
新宿で乗り換え、幡ヶ谷のパドラーズコーヒーに。後ろに並んでた男の子ふたりが「犬って本当にかわいい……」とずっとずっと言っていて、本当にそうだよねと思った。友だちと作る方のZINEの文章をやろうと思ったけど全然できなかった。そのあとはOh! My! Booksで予約していた本を受け取る。金欠すぎて予約していた本以外買わないつもりだったが、ちょっとだけ立ち読みした池田彩乃『観光記』の言葉に強烈に惹かれて追加購入。レジでアヤナさんとすこしお喋りする。いつも人とあるトピックについて話すときに直線で向かうようにして話せばいいのになんかめちゃくちゃ大回りして喋ってしまう悪癖がある。この日は大回りに加えてさらに横転している気がして、お店を出たあと幸せな気持ちとともにちょっと反省会をしてしまう。
さっきはあんなに暑かったのに曇って雨が降っていた。ドラッグストアに寄って帰宅したあと刺身を食べて、会社に送る旧PCの梱包作業。デスクトップなので大きすぎて奮闘するように梱包した。疲れて本を読む余力がないまま寝た。f:id:karirirrr:20241020051245j:image

 

10/20 日
空気の涼しさと日差しに気分がいい。少し前に新調したヴィーガンレザーのジャケットに初めて袖を通す。その瞬間、自分が生きてる感じがする。恋人と新宿御苑に行く。ロンドンから帰ってきた恋人は時差ボケが治らず、しかも体調も全快とはほど遠そうで、見ていてわたしまでなんか悲しくなってしまう。シートを敷いてふたりで寝そべり、喋りもせずひたすら空や横にある森を眺めていた。風が吹き、木々のざわめきが聴こえた。エリック・ロメール緑の光線』の、主人公が木々のざわめきに涙した何気ないシーンを思い出す。人が多いのに静かで、なんだか奇妙な気分だった。

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そのあとは下北沢まで移動。付き合ってすぐ、彼から手を繋ごうとしてくれたことがあった。わたしは当時は彼に対して相当ぎこちなく、ボディタッチの類を一切許していなかったのでてきとうな理由をつけて断った。それ以来わたしたちは手を繋がずにいるが、寒かったしどうしても触れたくなったので歩いているときに恋人の手を握った。冷たかった。
寝不足と日射の影響で相当に体力ゲージを削られたらしく、帰宅して何もやる気が出なかった。でも来週は平日5日のうち3日楽しい予定が入っている。がんばれ。

今週の一曲/Kelly Lee Owens "Dreamstate"