240108 - 0114

1/8 月
祝日。起きてスマホを見ると音声メモの画面になっていた。そういえば深夜に寝ぼけながら音声メモにラップを録音したことが薄ぼんやりと脳裏をよぎり、怖いもの見たさで再生してみると予想通りに惨憺たる出来具合だった。自分のセンスのなさにあきれながらIKEAへ。IKEAの大型店舗に行くたびにディズニーランドに来た子どもみたいに浮かれてしまう。照明とソファを買った。ソファは大きくて持ち帰れないので配達。一週間後に届くらしい。楽しみ。久しくインテリアへの興味を失っていたが、久しぶりに再燃している。

 

1/9 火
数日前からオタクとしての自分が機能しなくなった。好きなアイドルやパフォーマンスを見るといいなとは思うけど、以前に感じていた心の深いところから強く揺れ動かされるようなときめきを感じない。少し前はこういった変化、好きだったものを見ても何も感じなくなることをすごく悲しいことだと捉えていたが、人間はいつだって変わっていくものだし、情熱を注いでいた何かから離れていくのも自然な変化のひとつとようやく受け入れられるようになった。コンサートやカムバックがあったらまたオタクとしてのわたしは機能するのだろうか。でももうピークは去ったという確信めいたものがある。
気づけば自分がアイドルのオタクとしての自我を持って6年が経過した。人生がつらくて逃れるようにずっとアイドルのことばかり考え、FAを作って、アイドルについての文章を書いていた。大げさではなくすべてを賭けていた。でも、今のわたしが特に興味があるのは何気ない日々を大事にして生活することと、いま少しずつ湧き出ている創作意欲めいた何かをアイドルを通さず形にすることだ。そして今はくすぶっていた自分が変わる最後のチャンスなんじゃないか、そんなことを思う。

 

1/10 水
チョン・ゴウン『小公女』を見る。値上げラッシュに襲われ、家を手放し、古い友人をあてにして生活をする日々。その友人たちも歳を重ねたぶん変化し、飄々と生きる彼女をどこか風変わりな存在と見做している。でも安定した生活を送っていたり家庭や家族がいる彼ら/彼女たちのほうが圧倒的に苦悩しているように見えるのは、主人公自身が自分の大切なものを理解し、自分だけの軸をしっかりと持って日々を生きているからなのだろう。他者への思いやりを忘れることなく、でも寄りかかりすぎず、自分を理解して自由に生きる彼女を見ていると、わたし自身の幸せだったり大事なものってなんなんだろうと考え込んでしまった。いい映画だった。夜は近所のラーメン屋に行く。生理前だからなのか、食欲と眠気に飲み込まれている。

 

1/11 木
ここ数日うまく寝つけない。奇妙で不安になるような夢ばかり見て朝から疲弊。なんとなくGaragebandを立ち上げてビートを入れてみたら楽しくなってきたので、何か作りたくなってきた。1時間弱で作った歌詞をビートに乗せてみるも自分のリズム感がないのかなんなのか、ちぐはぐな感じになってしまい不満。くやしくなって機材を買いたくなってきたがそんな金はない。夜は友だちと吉祥寺で麻辣麺を食べる。毎日一万五千歩歩いてラップを作ってると話すと「おもしれー女すぎ」と言われる。刹那的な創作意欲がほとばしっているが、でもこれももしかしたら躁の一種なのかもしれない。知り合いに近況報告として言われたらちょっと心配してしまいそうな気がする。

 

1/12 金f:id:karirirrr:20240112114406j:image朝の7時くらいに散歩をしていたら、川面に反射する光がきれいで見とれてしまった。スマホだとうまく撮れないな。
近所の有名な菓子屋で韓国語教室の先生に渡すお菓子を買った。メモにハングルで「本当にありがとうございました、毎週土曜日がすごく楽しかったです」と書きながら、もうこんなふうにハングルを書く機会はほとんどないのだろうなとぼんやり思った。学んだものを忘れない程度の勉強というか現状維持はしていくつもりだけど、自分ひとりで勉強して前に進んでいく気力は今のところない。

 

1/13 土
昼過ぎに先生に会って、教室に忘れて置いて行ってしまったマフラーを受け取る。マフラーが入っている袋にはお菓子も入っていた。ありがとうございました、元気で、と言いあう。もう会うことのない人同士で「元気で」と挨拶することの切なさを噛みしめる。
吉祥寺に出向いて友だちに会う。台湾料理を食べる。何かデザートでも食べる予定だったが、思ったより満腹になった。友だちに相談したいことがあると言ってわたしから誘ったが、たいして相談をしなかった。その程度の悩みだったのかもしれない。
最寄りに着くと強い雨風。しばらくどこかで時間をつぶして雨が止むのを待ったほうがいいかもしれない、とフレッシュネスバーガーに入って窓際の席に座る。隣の席に座っていた男の人がびっくりしたような顔で窓の外をじっと眺めていたのでなんだなんだと思いながら見やると、雪が降っていた。すぐに雪はべしょべしょのみぞれになり、雨に変わった。マッカラーズ/村上春樹訳の『心は孤独な狩人』を読み始めるも眼精疲労なのか乾燥なのか目が痛く、真夏の夕立ち直前の空気みたいないやな感じの腹痛もあり(たぶんカフェインが原因)うまく集中できなかった。顔を上げて外を見ると、雨も止んでいた。
2021年からその年のベスト100曲をまとめたプレイリストを作っているが、23時前にいきなり2000年代、2010年代、2020年のベストをまとめたくなり軽い気持ちで作っていたら深夜2時を過ぎてしまった。自分が人生で最も音楽に対して熱心だった時期は2008年から2014年くらい。プレイリストのカバー写真もあの時の気分を反映したものがいいから、ひとつ決めるのも時間がかかる。そういえばあの時の自分のアイドルはRookieのタヴィ・ジェヴィンソンとスカイ・フェレイラで、ペトラ・コリンズが撮ったドリーミーな写真に心酔していたのだった。

 

1/14 日
昼過ぎに友だちと新丸子でアイスを食べ、代官山蔦屋に移動する。上海の出版社Same Paperのポップアップが目当てだ。買おうか我慢するか迷いに迷い、来月は絶対に服を買わないと誓いながら"Contemporary Shit"と刺繍されたフーディを買う。中目黒に行き、カフェ、カフェ、サイゼリヤを梯子する。23時過ぎまで終わらないおしゃべり。
アイドルがきっかけで知り合った友だちたちだが、今年はアイドルに心身を任せすぎず、自分の内面の創作をしていこう、みたいな話に収斂していく。アイドルを好きになって初めて文章を書き始めた、と言うと友だちふたりともとても驚いてくれてうれしかった。今は降りてしまったけど、そのアイドルを好きになるまで自分は言葉を持っていなかった。だから文章を書く愉しみをもたらしてくれたそのアイドルはわたしにとって神様みたいな存在で、と話していたら涙が出そうになった。
今年はzineも作りたい。やりたいことが本当に多い。そして創作への純粋な欲求が確かにある。この気持ちを忘れずにいれたらいい。

今週の一曲/Erika de Casir "Lucky"