241028 - 241103

10/28 月
12月のコンサートに一緒に行く友だちからアップグレード席に当選したといういい知らせ。うれしい。しかしここ数日、好きなアイドルが所属している会社が炎上しているらしい。今年だけで何回目だろう。気分わるい。調べると社員が他の事務所の容姿を批判するコメントを書いているとかで、どうしたらこんなにも狂った会社と社員になるのだろうとただただ疑問。わたしの好きなアイドルがこんな気持ち悪い会社にいると思うと嫌悪感で頭がくらくらする。アイドル本人たちと事務所は分けて考えたいけど、自分の楽しみの背後にはあの会社が存在していると思うとうんざり。
友だちと作るZINEの作業が進んだが、本当に時間がない。もう11月だ。はたして完成できるんだろうか。でもわたしはやっぱり何かを作ることも文章を書くことも好きだから、いま作っている本が完成しても書いて作ることは何らかの方法で続けていきたいし、自分のライフワークにすべきことなのではないかと思っている。夕飯を食べ、10時ごろから作業を始めて気づけば1時になっていた。ぜんぜん進まなかったフライヤーが急にできたけど、深夜に投下したツイートやストーリーがだいたいやばいように、朝起きてなんだこれ……とならないことを願いながら寝る。

 

10/29 火
深夜まで過集中モードのまま作業したせいで朝ぜんぜん起きれない。寝る前に「朝起きてこのデザインよくないな……」と思ったらどうしようと思ったが、まあまあの出来だと思う。昼休みにブラッシュアップの作業を行い、もうひとつ作る。
仕事終わりに外に出る。寒い。マフラーを巻くか悩んだけどけっきょくやめた。やめてちょうどよかった。一緒にZINEを作っている友だちと会う。渋谷で友達を待っているとき、女の子に話しかけられた。どうやら韓国から来たらしく、電車の案内をした。本当に久しぶりに韓国語を喋ったが、あんなにも勉強したのにずいぶん忘れていることを痛感した。女の子とありがとう、カムサハムニダ、と笑顔で言い合って別れ(즐기세요のほうがよかった、友だちと待ち合わせる。土日に作ったデザインを見せると大喜びしてくれた。ふたりのおしゃべりを録音して文字起こしし、ZINEに載せようとしている。ちょっとしゃべったところでお店の閉店時間が来てしまい、この日はおしまい。お店の閉店時間が気になりすぎてあまり友だちの話を深掘りできず、ちょっと後悔している。

10/30 水
前々からいいなと思っていたネイルサロンに衝動に駆られるようにして行きたくなって、明日滑り込みで予約を入れた。夜は作業。文字起こしと文字の流し込み。疲れた。ここ最近ちょっとがんばりすぎだと思う。でもとめられない。とまったらさみしくなったり悲しくなったりむなしくなったりしそうでこわい。最近かなり忙しくしているからか、恋人のことを思い出す回数がとても減った。ふだんは本当に必要最低限しか連絡を取らないことにさみしさを抱いているが、そういえばぜんぜん感じていない。さみしさを感じないことは気持ちが満たされている証拠なのかもしれない。でもわたしはさみしさを感じないことがすごくさみしかった。

 

10/31 木
連日ずっとずっとZINEの作業をしていたから今日は何もやらない日に決めた。午後休を取って、夕方ネイルサロンに行く。昨日の夜から無性に読書がしたくて仕方がなく、でも作業を優先させないと気持ちがどうにも休まらずひたすらパソコンに向かっていたので、ネイルサロン近くのカフェに早めに入って本を読もうと思っていた。でも集中できなくてページすら開かなかった。
今日行くのは初めてのネイルサロン。音楽や映画の趣味がすごく似ている人だった。カルチャー趣味の強いお客さんはかなり少ないらしく、そういった話をできることへの喜びをネイリストさんはうまく隠せていなかった。わたしもうれしかったけど昔から他者から好意的な感情をを見せられるとちょっと引いてしまうときがあって、今回もそれが発動してしまった。不快じゃないのになんか発動したことへの罪悪感でいっぱいになった瞬間がたまにあった。誰も何も悪くないのにな。
それはそれとして、ネイル整体や美容室もそうだけど人に施術をしてもらうたび、こうしたサービスって本当に精神的なケアと深く繋がっていることを実感する。お金を払って身体をほぐしてもらったり爪や髪を綺麗にしてもらうことを自ら選択する行為は、わたしにとって自分をいたわることとイコールだ。接客業の方は本当にすごい。変な感情にはなってしまったが(自分のせい)、ネイルはすごくかわいくて気に入っている。スウェットにパンツばかりの自分にはかわいすぎるかなと思ったけど、ネイリストの方が「そういうカジュアルな格好でかわいいネイルっていうギャップもいいですよ!」と言ってくれた。来月も予約を入れる。そして帰宅してこの日記を書いたせいで本を読む時間がなくなった。

11/1 金
いつもより早く起きれた11月のはじまりの朝だった。いつもならぎりぎりまでベッドにいるけど読書をする。自分の意思でやりたいと思えることがたくさんあるとすごく楽しくて満たされていて、でも常に何かに急かされている気がするし、毎日ZINEのことを考えて暇さえあれば作業し、たまに深夜までやってしまう。だからこそ自分なら読書とか散歩とか、忙しくする前にしていたことを意識的に行なって気持ちをリラックスさせる必要がある。ZINEの作業は一旦できるところまではできたので、来週半ばくらいまではゆっくりできそう。
好きなグループのコンサートがソウルで行われる。以前ならソウルであれば何が何でも行っていたけど、今回はあきらめた。行けずに悔しい気持ちはまったくない。わたしはアイドルにめちゃめちゃになっていたときの自分が望んでいたような「ほどよい」オタクになった。でもその一方で今の生活ひいては人生に対して時おりひどい空虚さを感じることがある。みんなもそうなんだろうか?

 

11/2 土
起きたら彼からラインが来ていた。「お誕生日おめでとう」。歳を重ねることはいやすぎるけど、なんだかんだ誕生日そのものはうれしい。雨が降っている。いつも誕生日は晴天だからなんだか悲しい。でも自分が外で移動する時は雨に打たれなかった。家を出る前にイ・ジュへ『その猫の名前は長い』を読み終える。女と女は(ときにはさらに女)は個人から「わたしたち」となる。「わたしたち」は手を取り合い美しい絆を築く。しかしその絆は時に彼女たちの社会的役割やまなざされる視線によって削り取られ、ばらばらにされる。それでも他者と他者が手を取り合おうとする心強さとなぐさめを繊細に描いていた。
昼過ぎに彼の家に。わたしが手料理を食べたいとリクエストしたらキンパとプデチゲを作ってくれた。注文したケーキも食べる。お腹いっぱいで幸せ。U-NEXTでアレクサンダー・ロックウェル『イン・ザ・スープ』を見る。彼がキッチンでプデチゲを煮込んでいるあいだ『犯罪都市』を流していたが暴力描写が痛かったのでなんとなくヴェンダースパリ、テキサス』に変える。流し見しようと思っていたが最後まできちんと見てしまった。10年ぶりくらいだった。美しい景色やカットにうっとりし、胸を打たれるシーンも数多くあれど、やはり男は異常だと思う。でもこんなふうにしか生きられない人がいることも理解できるし、男は自分自身の心に原因を抱えている自覚もある。やはり自分の痛みや傷を直視しなければ他者をまっすぐに見つめられず、愛することもできないのだろうという月並みなことを思った。なんとなくFilmarksのレビューを見たら「毒親映画」と言われていた。SNSに氾濫しているわかりやすくショッキングな呼び方に映画芸術までもが無理やりくるまれていることにわたしは憤りに近い感情を覚えた。
いつも自分の誕生日にはプレッシャーめいたものを感じていた。何歳になったから今年はちゃんとしなければならないとか、そんなことばかり思っていた。でも今日はすごく気楽でよかった。


11/3 日
よく晴れている。渋谷のシティベーカリーで朝ごはんを食べる。恵比寿まで歩いて写真美術館でアレック・ソス『部屋についての部屋』。

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なんとなく好きかもと思っていたが確信に変わる。ソスの写真は親密なのに無性に哀感を感じられ、わたしはそこがすごく好きだった。被写体や不在となった部屋にいたはずの人間が持っているさみしさや物悲しさを捉えることにすごく長けている写真家なのだと思った。わたしはある一枚に釘付けになった。プロム中に、まわりが一心不乱に踊っているのにひとりだけ空虚な表情を浮かべた女性の写真だった。まわりに到来している「人生のイベント」にひとりだけのれていない自分みたいだと思った。
展示を見たあとブルーシールでアイスを食べて、中目黒まで歩く。わたしと彼は目黒川で足を止め、河川にいる鴨たちを眺めながら、とりとめもない話をする。西日がビルに反射して強い光を放っていた。何も起こらない幸せ、という言葉が浮かぶ。

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waltzに行ったあと、パスタを食べる。わたしも彼もたくさん歩いて疲れていたからか流れるように会話をする。Y2Kが流行った時点で本当に新しいものはきっともう生まれず、これまで過去に生まれた文化をひたすら取り上げアレンジするだけの時代になったことを確信した、とかなんとか。こんなことを感じるくらいにはわたしたちは長く生きたんだと思った。

今週の一曲/Sofie Royer “Young-Girl (Illusion)”