241021 - 1027

10/21 月
あんなにも涼しさを求めていたのにいざ気温が下がると普通に寒いな…とちょっとげんなりする。まだ身体が慣れてない。印刷会社に連絡をする。返事を待つたびにやたらと緊張してしまって、それが結構しんどかった。やりとりして、とりあえず仮データを送る。仕事もやることが多く、週のはじめからなんか疲れてる。

 

10/22 火
秋めいてさみしいのかなんなのかわからないが、心細く身体も重い。生理周期でもないのになんでこんなことになってるのか……と思っていたら、Twitterで「今日はすごく気圧が低いので自律神経が弱い人は気をつけて」みたいなツイートを見つけて納得する。夜に友だちと電話。春の文フリに出る流れになりつつある。

 

10/23 水
昼休みに作業してZINEの入稿。まだまだやることはあるし修正が来るかもしれないけど、一旦は自分よ、おつかれさま!絶対みんな読んでほしい、こんなの誰が買うんや、の真逆の思いを猛スピードで行き来しまくっている。
仕事のあとは初台でのリーディングパーティに参加。テーマは日記。日記を書いている人の数だけ書き方も生活もそれぞれあることを改めて思う。自分の日記を人前で朗読したが、声に出して読んでいると自分の文章なのにそうでなくなっていくような不思議な感覚になった。わたしは「昔の日記を読むと当時の自分はいつもばかばかしいことで悩んでいて元気が出る。未来の自分を元気づけるためにいま日記を書いているのかもしれない」みたいなことを言った。ほとんど何も考えずするすると出た言葉だったけど、これこそが本心なのだろう。ここのリーディングパーティはカジュアルで大好き。また参加したい。帰宅後、メールを見たら入稿データに不備なしとの連絡が。あとは届くのを待つだけ。日付が変わって恋人の誕生日になった。おめでとうのラインを送って眠る。

 

10/24 木
リーディングパーティで知り合いができたことと入稿できたうれしさでなんとなく浮き足立っている。空き時間に友だちと共同のZINEの表紙の作業。昨日自分の入稿が終わったけどこちらはまだまだなのでやらないといけない。
退勤後に家を出る。風がぬるい。10月だっていうのになんでこんなに湿気てるの。彼の最寄り駅の、ちょっといいビストロに行く。カルパッチョ、オムレツ、ステーキ、チョコレートのテリーヌ。どれもおいしい。昨日のリーディングパーティで朗読された日記はどれも食べ物について詳細に記述されていたが、わたしはいつも「おいしい」しか言えない。食への解像度とアンテナが低すぎる。お店の方が優しくてよかった。
彼はまだ体調が悪そうで、ぐったりしている。プレゼントで赤いカーディガンを渡すとよろこんでくれた。来年の2月にFontaines D.Cが来日することを知り、わたしと彼のふたりぶん申し込む。来日公演を知らせるページで彼らは「ロックの救世主」と紹介されていたが、この枕詞は欧米のバンドに対して大昔からやたらと使われすぎている。少なくともわたしが小学校高学年とか中学一年とかそれくらいのころには確実に観測していたので、15年はこすられ続けている。
帰り道、ふと岡崎京子の漫画のことを思い出す。何の漫画だったか、しかも正確なセリフも忘れてしまったけど、「このままずっとこうしていられたらいいのに」みたいなセリフがあった。わたしもそう思う。本当はいまの恋人と気楽に恋愛をやりたいし、ふらっと映画を見に行くような生活を一生送っていたいが、でもそれじゃだめなんだろうなともうっすらと思う。誰かの妻とか母親になってみたい気持ちもある(しかしこの欲求はたぶん好奇心からやってきているので、それに軽率に他人を巻きこむわけにはいかない)。これまでその場限りのふらふらとした生活をずっとしてきたけど、こんな日々に対して焦燥感というか、自己改革をしなければもう自分に未来はないような危機感めいたものがある。それが日々強まっているのに本当にどうすればいいのかわからなくて、ずっとずっと気持ちが重い。

10/25 金
すごくしんどくてなかなか起き上がれない。また気圧とかそんな外的要因なんだろうか。よれよれで会社のPCにログインしつつつらくて仕事ができないので、午後のミーティング後に早退することを考える。でも夜は映画を見に行く予定があるから、早退することがなんだか悪い気がしてしまう。ミーティング後に早退することを前提にだらだらと仕事をしていたが、会議が始まって自分の神経が研ぎ澄まされる感じがした。緊張感が神経にほどよく効いているのだろう。終わったころにはなんとなく元気になっていたので、定時まで業務。
退勤後は池袋へ。きらいな街。頑張った自分へのご褒美に油そばをきめたあと、新文芸坐モーリス・ピアラ『ルル』を見る。DVDなくVHSのレンタルもなく、10年くらい前に日仏学院でかかっていたものの行けず、以前のゴーモン特集は酷暑のため日仏まで行けそうもなかったので、本当に待望に満ち満ちた一本だった。『愛の記念に』『まずは卒業して…』が好みだったから楽しみにはしつつ、空振ったときがむなしいから期待をあえて抑えながら見て、帰りは作品の余韻に浸っていた。
ブルジョワのネリーと労働者階級のルルという、住まう場所も飲む酒もタバコも服装もまるで違うふたりが出会って惹かれあうが、愛し合ってめでたしでは終わらない。生まれ育った階級もライフスタイルも嗜好もまるで違うふたりは愛しあうことはできても幸福にはなれるのか?
ルルの仲間、労働者階級の仲間たちによるピクニックでどこか話に入っていないようなネリーの表情、あるハプニングからの彼女の決断。映画全体が急に仄暗く重たいトーンに変化してきたなと思っていたら、ネリーが酒場で酔っ払ったルルを介抱し、狭い路地を歩いていく。このシーンがあんまりにも美しくて見惚れていたらエンドロールに。お互い混乱したし楽しいことばかりではないし、何より生まれ育った社会的階級という壁があるけれどそれでもふたりで生きていこうとする、そんなラストシーンだった。他人と完全にわかりあえるなんて不可能だけど、でも「あなた」と一緒にいたいと感じずにいられないことの美しさ、そしてそれに伴う困難を描いていてとても好きだ。惜しみなく好きと言える。
上映後、小汚なくてきらいな池袋の街が輝いて見えた。それは恋愛をはじめたときの感覚に似ていた。ルルとネリーは言葉よりもしぐさや視線つまり身体で恋愛をしているようで、自分とは真逆ですごくうらやましかった。

 

10/26 土
8時に起きて、10時ごろ新宿に行く。平日はリモートワークで家にずっといるせいか休日は家でゆっくりしているのがすごくもったいない気がして、起きてすぐ出かけがち。今日はきちんと涼しくてうれしい。三丁目のエクセルシオールでひたすら友だちとの共同のジンの作業、作業というかスマホで原稿をぽちぽち打つ。やろうと思っていたことはほぼできたので満足。Instagramを開くと大阪に住んでいる大好きなお姉さんが春から東京に引っ越すらしく、楽しみが増えた。こういうふうにしてこれからの日々に小さな楽しみをたくさん点在させないと生きていけない。三度目の結婚をすると言っていた。わたしみたいに一回も結婚をしていない人もいれば三回も結婚しているひともいる。いいな、わたしも恋人と結婚とかなんかしてみたいなと好奇心、興味、関心、とにかくそんなものが強まる。
武蔵野館で五十嵐耕平SUPER HAPPY FOREVER』を見る。とにかく海に行きたくなった。いわゆる「いい感じ」になっている二人のやりとりはかなりキモいことをこの映画で強く確信(というかフィクションにも関わらずキモさをびしばしと感じさせる俳優たちの演技がすごい)。深い喪失があり、強い悲しみもある人生のささやかな幸福の一瞬の象徴があの赤いキャップなんだろうな。わたしにも赤いキャップのようなものはあるだろうか、なんだかすごく見落としている気がしてきた。 夜ご飯(チヂミ)のあと作業作業作業。苦手意識が強かったレコメンド10曲分がようやく終わる。

10/27 日
8時過ぎに起床。10時ごろに家を出て、近所のフレッシュネスバーガーで作業。何回か飲み物を頼んだだけでほとんど休憩のないまま、気付けば夜の6時になっていた。いくらなんでも過集中しすぎてる。疲れた。今日のタスクは完遂できなかったが予定になかったイラストをふたつ仕上げ、表紙もさらによくなった。ZINEを作るようになってから自分を素直に褒められるようになった。すごくいいこと。彼に誕生日ケーキの提案の連絡をする。彼の誕生日は終わったけど日にちが近いから、ふたりぶん名前を入れてもらう。
選挙が気になるもののその結果に毎回がっかりするのがしんどすぎて、期日前に票を入れて以降は自分のメンタルのためにあまり情報を追わないようにしていた。どうやら与党過半数割れとのこと。自分が生きてるあいだに何かがよくなることなんてあるんだろうかとよく思うが、よくするためにきちんと行動しないといけないな。

 今週の一曲/Loukeman “Baby You're a Star”