11/20 月
3時近くまで友達と電話をしていた。6時前に目がさめてしまい、二度寝を試みるもうまくいかなかった。仕事の合間に荷造りをする。といっても出発は1週間半後だ。でもやらないと落ち着かない。
昼ごろから推しがデマを流されて凄まじく叩かれているとうわさを聞く。あれこれ調べたらそれは人ひとりの心を簡単にこわすことのできるようなひどく暴力的かつ非道なる内容で、しかも推しを脱退させるために画作されたことらしい。ファンダムのコミュニティが上げたハングルの文章をコピペして、事務所にメールを送った。祈るみたいにして。なんだか真綿でゆっくりと首を絞められている気分だった。それにしても、わたしと推しは言ってしまえば知り合いでもなんでもないのにどうしてこんな気持ちになるんだろう。夜に恋人と電話をする。恋人もK-POPのオタクなので同情される。恋人の声を聞いていたら悲しみや怒りも少しばかり落ち着いてきた。
11/21 火
なんだかうまく起き上がれない。大丈夫と自分に何度も言い聞かせ、ベッドから這いあがってデスクに座る。頭痛がする。推しにまつわる余計なことを見聞きしたくないのでツイッターのメインで使っているアカウントを消した。こんなことで逆説的に推しへの愛情を確認したくなかったなと思う。
11/22 水
テニスの王子様の乙女ゲームの実況をBGMにして、げらげら笑いながら仕事をする。夜に恋人と会い、吉祥寺のみんみんで炒飯と餃子とラーメンを食べる。ここ最近つけ麺や油そばばかりだったので久しぶりにオーソドックスなラーメンを食べた。おいしい。B&Yに寄ったらいい感じのビーニーがあったので購入。家計簿を細かくつけるようになってからは衝動買いを一切しなくなっていたが、偶然見つけたアイテムを即購入した時にしか感じられない高揚感が必ず存在している。恋人が家の台所で家事をする姿が見えた。その佇まいがなんだかうつくしくって写真を撮りたくなった。でも撮らなかった。
11/23 木
祝日。喫茶店で特大サイズのホットケーキ2枚を食べたが、昨日から食べたいものばかり食べた罰が当たったのか食後しばらくしてちょっと気持ち悪くなる。とてもおいしかったんだけど。自分の身体の限界というものをいまだによくわかっていない。前に新大久保で激辛のチュクミ炒め麺を食べてお腹をこわしたのにその炒め麺が本当においしかったのでこの前もう一回頼んでしまって、案の定こわした。恋人と「ピロートーク」という名づけはとてもセンスがあるという話などをした。わたしは昔から希死念慮がかなりひどいけれど恋人といるとそれが薄らぐ。恋人といるときの自分のこと、けっこう好きだなと思う。
11/24 金
久しぶりに柴田聡子の曲を聴き、歌詞のよさにうなる。わたしは日本で生まれ育ったので、日本語は特に何も考えず理解することができる。でも歌になると言葉が言葉として自動的に耳に入ってくる感覚がすごく苦手だ。だからふだん日本語の曲はほとんど聴かないが、柴田聡子はわたしが好き好んで聴く、数少ない日本語で歌うアーティストのひとりだ（あとは宇多田ヒカルと初期の椎名林檎、坂本慎太郎くらいかも）。柴田聡子の日常のささやかな機微と、あっけらからんとしたユーモアの視座がうらやましい。エッセイも最近出たので買わなければ。
ドラッグストアでhinceのクッションファンデを買う。保湿が必要な季節だ。
11/24 土
『ゴーストワールド』を初めて見たのはどんどん遠ざかっていく14歳のころ。わたしはどこにも居場所のないひねくれた中学生で、ひとりぼっちだった。主人公のイーニドを自分に重ねずにはいられなかった。しかしイーニドと決定的に違うのは、わたしにはレベッカのような友だちがいないことだった。高校一年のころ、お小遣いで『ゴーストワールド』のDVDを買った。宝物になったけど、見返すことはあまりなかった。
大人になって映画館のスクリーンでイーニドとレベッカを見れて感無量な反面、ふたりやシーモアの行動のひとつひとつが遠く感じられたのでなんだか久しぶりに会ったもののどこかぎこちなくなった友だちみたいに思えた。映画を初めて見たあのころはわたしも何も言わずにどこかに消えてしまいたかったし、簡単に消えることができると思っていた。それがむずかしいことだと理解しているのは自分が大人になってしまった証左なのだろう。そういうふうに『ゴーストワールド』のリバイバル上映はほろ苦い感傷を呼び起こさせたが、やはり大好きな映画であることは変わらない。
帰りに LAKAのリップとTorridenのパックを衝動買い。最近コスメ買いすぎ。
11/25 日
4時に目が覚めてしまう。前々から休日に限って早く目が覚めるのはなんなんだろう。この前買ったLAKAのリップとhinceのクッションファンデを使ったら両方ともすごくいい感じでうれしい。13時から近所でネイル。色が決まらないままお店に行き、結局グリーンにした。春の草原みたいな緑。ぜんぜん冬っぽくはないけど、かわいい。
お腹が空いてふらふらしてきたのでシティベーカリーでパンを頼んだら思いのほか空腹が満たされてしまい、夜にラーメンを食べる約束をしていたのでかなり焦る。わたしはわたしの身体のこと、たとえば今どれくらいお腹が空いていて、これくらい食べれば大丈夫とか、あとでご飯の約束があるから今はこれくらい食べれば大丈夫とか、そういうことがあまりにもわかっていなさすぎて呆れる。シティベーカリーでファン・ジョンウン『百の影』を読んで時間を潰し、眉毛サロンに行ったあとで恋人に会う。みかわで貝ラーメン。おいしい。下北沢をぶらぶらし、カフェでとりとめのない話をした。自分の好きなところを3つ挙げる流れになり、わたしは⑴素直 ⑵そこそこのユーモアがある ⑶文化的感度が高い、の3つを挙げたが納得されたので嬉しくなった。吐く息が白かった。まごうことなき冬だな。
今週の一曲／柴田聡子 "Synergy"
