240505 台北旅行 最終日

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8時過ぎに起床。最後の日だと思うとたまらなく寂しくなっていく。麺線を食べに西門の駅前を横切ったら夜の喧騒がうそのように人がいない。

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曇り空からわずかな光が差していて、白んだ朝だった。頭の中ではなぜか透明雑誌の”透明雑誌FOREVER”が大きな音で鳴る。歌詞はわからないけど白くて激しい曲だと思う。朝ごはんはわたしの台北ソウルフードこと麺線。

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台北駅まで歩き、空港鉄道に乗る。ああ本当にこの土地を離れるんだなとしんみりしてきた。

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電車に乗ったら横でカップルだが夫婦がふたりでセルカを撮っていた。わたしも彼も自分たちの写真を撮る習慣がまったくなく台北旅行でもけっきょく昨日の1枚しか撮っていなかったし、それも「頑張って撮りましょう」みたいな、撮ることをすごく意識して撮影したものであった。なのでこうしてごくごく自然に自分たちの写真を撮っている人たちを見て、その振る舞いに感心に近い思いを抱いた。

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景色は街から森に移り変わっていく。『憂鬱な楽園』の重苦しい湿気にまみれた台湾の景色を思い出す。

空港に着いてチェックインなどを済ませる。レストランで何か食べたいが現金しか対応していないところが多く、わたしも彼も現金を使い果たしてしまったので途方に暮れる。フードコートはクレジットもOKだったのでやたらと大きいパンを買う。

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雨が降っている。わたしが旅行がこんなにも好きなのはノイズから逃れ、現実を忘れられることができるからだ。日本に帰ったらあらゆるくだらなさやしょうもなさやいらだちにめちゃめちゃにされるのが容易に想像できた。そんなことで精神を消耗したくなかった。
いつも空上から何もない空を見るのが好きだったけど眠気に勝てず、うたた寝していたら日本らしい景色が広がっていた。

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彼が千葉県らしい景色だ、と言う。日本の景色が見えたらもっとうんざりすると思っていたけど、田んぼに反射する光のきれいさに目が離せなかった。

乗っていたのがタイの航空会社だったからか日本人はほぼおらず、座席も前方だったので入国審査を一番乗りで駆け抜ける。スカイライナーへ向かう壁には任天堂のキャラクターがわらわらといる。スーパーマリオルイージが「おかえり!」と言わされていて、なんだかその「おかえり!」に泣きそうになる。あんなに台北が気に入って、日本に戻りたくないと思ってたのに心のどこかでは帰りたかったんだろうか。

スカイライナーのチケットを買おうとするも、先日のカード不正利用の弊害のせいでちょっとしたごたつきが起こる。無事に購入して電車に乗る。一緒にいる時間が長い旅行だとカップルは喧嘩しやすいらしいけど全然しなかったね、とわたしは言い、そこから話はなぜか高校生カップルはディズニーランドで別れやすい説についての話になっていく。山手線に乗り替える。数時間前の台北の景色や空気や匂いが東京の喧騒に塗りつぶされていく。それでもこの東京の騒がしさに確かに安心している。

彼と解散してひとりになった。家に着く。旅行から帰るたびに思うけど、ぜんぶ夢だなとぼんやりしながらシャワーに入って眠った。