240504 台北旅行 3日目

que.hatenadiary.jp

8時半ごろ起床。台北駅に降り、好初早餐で朝ごはん。POPEYEやBRUTUSなどに載っているヒップな店らしい。店にはマガジンハウスの雑誌がいくつか置いてある、

f:id:karirirrr:20240510084955j:image

f:id:karirirrr:20240510085001j:image

チキンサンドだったかな。朝から重いかなと思ったけどぜんぜん食べられた。ジューシーですごくおいしかった。また台北に訪れたら食べに行きたい。

f:id:karirirrr:20240510084945j:image

台北駅の方に戻っていく。今日も日差しが白くてまぶしい。まだ一日半あるのにゆっくりできるのが今日だけと思うとさみしい気持ちになる。台北地下街を通って駅に行く。やたらアニメグッズを売っている店が多い。非合法なのかそうじゃないのか微妙にわからないものがたくさん売られている。
市政府で降り、松山文化創意園區に向かう。

f:id:karirirrr:20240510084958j:image

f:id:karirirrr:20240510084942j:image

CAMA COFFEEで休憩する。この松山文化創意園區の建物は日本統治時代に作られたものらしい。わたしは日本がかつて台湾を統治していたことについてどう思えばいいのかわからない。台湾は日本が統治したおかげで発展したので感謝をしている、というのが日本での定説になっているが、本当にそうなのだろうか。虐げられた人が隠されているだけなんじゃないだろうか。そもそも国が他の国を占領すること自体が間違っているし、何か美談のように扱われているのが気味悪く思う。

誠品生活をぶらぶらと見てまわったあと台北駅に戻った。歩きながら歌っている人がいた。誰も気に留めていないようで、台北の人は寛容で素敵だなと思った。次はホウ・シャオエンが関わっているという光點台北台北之家)をちらりと見に行く。シャオエン監督がプロデュースしたミニシアターがあるらしい。

f:id:karirirrr:20240510085110j:image

カウリスマキ『枯れ葉』などが上映されていて見返したくなった。PAR STOREでお土産を買いたくなったので店に向かう。その前に何か食べようと思い、赤峰街の店でまた麺。

f:id:karirirrr:20240510085051j:image

f:id:karirirrr:20240510085104j:image

きしめんのような麺でおいしかった。PAR STOREで友達へのちょっとしたお土産を選んでいると、恋人が先に買っていて在庫がなかったバックストリート・ボーイズと幽遊白書の非合法Tシャツが再入荷されていたので迷わず購入。店を出ると霧雨が降っていて、さらに胸焼けのしそうな風情が漂う。

f:id:karirirrr:20240510085044j:image

f:id:karirirrr:20240510085054j:image

バイクや建物の灯りが雨で濡れたコンクリートに反射していてきれいだった。雨降ったらいやだなあと思っていたが、台北が持つ湿った情緒をわずかでも味わえたようで感謝をした。

f:id:karirirrr:20240510085048j:image

f:id:karirirrr:20240510085107j:image

歩いてSqueeze Coffeeで休憩。去年も行ってすごくよかったコーヒー屋。店員さんの態度がカジュアルで居心地がいい。

萬華エリアに向かう。明らかに風俗店らしい店が立ち並んでいたり、かつてはヤクザが暗躍していた場所で治安はかなりよくないらしいが、個人的にはとても好きな雰囲気だった。これまで行った台北の街の中でも雑多で、古そうで、がやがやしてて、自由そうで、でもゆるやか。

f:id:karirirrr:20240510085224j:image

f:id:karirirrr:20240517115501j:image

f:id:karirirrr:20240517115458j:image

台湾随一のパワースポットこと龍山寺に行ってみることに。お辞儀をしてから入る人が多く、台北の人たちの心の拠り所になっている場所であることがよく感じられた。

f:id:karirirrr:20240513121515j:image

f:id:karirirrr:20240513121448j:image

すごい存在感。街の中に突然現れるのでびっくりする。どこもかしこも金色で装飾も細やかながらもとても派手で、見ていておもしろい。海外からの観光客が金閣寺を見て思うこともこんな感じなんだろうか。

韓国人の夫婦に写真を撮って欲しいと声をかけられるので、撮影する。撮りましょうかと言われたので彼と撮る。わたしたちは人の写真を撮る習慣がなく、付き合って一年近く経つのにふたりで写っているのは一枚しかなかった。今回の旅行もふたりで撮ろうと言っていたのにすっかり忘れており、昨晩「撮れなかったら西門のゲームセンターでインセンネッコ(韓国風のプリクラ)でもやろう」と会話をしていたところだったのでちょうどよかった。近くに夜市があったので寄って、ルーロー飯を頼む。初日の夜に食べたルーロー飯より素朴な味がする。
f:id:karirirrr:20240513121511j:image

彼が大型スーパーでお土産を買いたいというのでついていく。アーケード街のように天井がある夜市をまっすぐ抜けていく。ネイルサロンと疲労回復のマッサージがやたら多い夜市だ。蛇肉が食べられるお店もあった。店頭には生きている蛇がいて、あの蛇を見て食べたいと思う人はいるのだろうかと思った。

f:id:karirirrr:20240513121505j:image

台湾の人は日本人と比べて自炊をしない傾向にあり、夜市や飲食店の数が多く安いのはそのためだと聞いたことがある。そういえば夜市で食べている人は男の人ばかりだったことを思い出す。台湾の女性は夜どこにいるんだろう?

大型スーパーまでは結構な距離があるので、途中で麺を食べることにする。彼が何かの拍子に「台湾住もうかな」と言った。彼の言葉は冗談でしかないことはわかっているが、わたしは何も言えなくなるほど自分の中で移住したい気持ちがあることを思い知る。

f:id:karirirrr:20240513121451j:image

f:id:karirirrr:20240513121455j:image

最後の晩餐になることを予感してさみしくなってきた。ドラゴンボールフリーザのTシャツを着た人が目の前を通ったのでふたりでドラゴンボールスカウターについての話をしていると、近くの席にいた男性に「日本から来たの?」と英語で質問される。そうだよ、と返すと「台湾に来てくれてありがとう」と笑顔。いい人ばかりだ。
学校と思われる建物を横にスーパーに向かう。夜の学校を見た瞬間にわたしはホウ・シャオエン『ナイルの娘』を思い出す。大型スーパーは日本だとイオンに近しい感じだった。不思議だったのは現地の人の何倍も観光客が、それも韓国人観光客が買い物していたことだ。きっと有名なガイドブックに載っているのだろう。聞こえてくる韓国語に、自分が熱心に勉強していたころを思い出した。日本で見たことのないオレオとパイナップルケーキ、マンゴーケーキを買う。

宿の近くまで来てしまった。すぐ近くに深夜営業のカフェ Dark Cornerがあるので行ってみる。

f:id:karirirrr:20240513121458j:image

カフェというより友達の家に来たみたいな親密さのある空間で、店主のひとは日本語がすごく上手だった。よかったらこれを読んでね、と台湾グルメを特集した日本の雑誌を貸してくれた。明日東京に帰るんです、が無性にさみしくて言えなかった。

f:id:karirirrr:20240513121508j:image

明日は朝早いので、遊ぶのもそこそこに宿へ戻る。宿の目の前の公園にある木々がぬるい風にさわさわと揺れる。まだ台北にいるのに何もかも終わっていく気がした。大量のバイクもぎらぎらとしたネオンも公園のみどりも重たい風も何もかも切なく、楽しいけど同じくらい悲しかった。できるだけ旅行に関してのあらゆることを残そうと思ってスマホのメモにしょっちゅうメモを取っていた。だけど何もためにならなそうだった。ふと武田百合子のことが浮かぶ。彼女は高い解像度の目と感性で日記や旅行記などを書き続けたけど、スマホのない時代に自分の記憶のみであの文章を書いていたと考えるとその凄さに震え上がりそうになった。

台北に来てから、疲れているのに眠れなかったらどうしようと日々考えていた。わたしにとって眠れないことは死より怖いことだったが、この日は海底へ落ちていくような眠りに着いた。